ひやむぎ(冷麦)とそうめん(素麺)はもともと製造方法が異なっていましたが、近年の製麺機の普及により、その差がほとんど見られなくなり、それに伴って基準も変化しています。
「ひやむぎ」と「そうめん」の違い
かつてひやむぎは、細いうどんとして知られており、小麦粉に塩と水を加えて練り、伸ばしてから切り分けて作られていました。
一方、そうめんは同じ原材料を使用しながらも、ひやむぎとは異なり、練った生地に植物油やでんぷんを塗布し、撚りを加えて引き伸ばし、細く仕上げた後に天日で乾燥させる製法が採用されていました。
しかし、現在では製麺機を用いた製法が一般的となり、油を使わないで作るそうめんや、油を使用して作るひやむぎなど、製法による区分が曖昧になっています。
「ひやむぎ」と「そうめん」の特徴
日本農林規格(JAS)による「乾めん類品質表示基準」では、麺の太さに基づいて区分されています。
この基準では、直径1.3mm未満を「そうめん」、1.3mm以上1.7mm未満を「ひやむぎ」、そして1.7mm以上を「うどん」と分類しています。
これは主に機械製麺における基準です。
一方、手作業で延ばされる麺、いわゆる手延べ麺では、直径1.7mm未満でも「そうめん」または「ひやむぎ」に分類されることが許容されており、厳密には麺の太さだけで区分けされるわけではありません。
特に徳島県の伝統的な「半田そうめん」は、直径が1.7mm前後であるにも関わらず「そうめん」として扱われています。
このため、2004年にはJAS規格が見直され、手延べそうめんには1.7mm未満の基準が適用されるようになりました。
この変更により、機械製麺では麺の太さが主な基準となり、手延べ麺では製法が重視される形に調整されました。